きものいろいろ

古典の日絵巻[第七巻:きものがたり]

古典の日絵巻第七巻 きものがたり

第二号 平成30年5月1日

きものいろいろ
服飾評論家 市田 ひろみ

三月十二日、京都。二条城の南にある未来学園の卒業式に出席した。
会場の前半分は卒業生。後半分は生徒の父兄。
いずれもきもの。きっと 早くからヘヤーメイク、着付けをして来たのだろう。
卒業生の装いも 多様だ。振袖、訪問着。訪問着に袴、振袖に袴。残念ながら 振袖の上に袴をつけると、せっかくの振袖の上前のもようが見えなくて惜しい。
父兄達もほとんど きもの。訪問着や色無地。
一年生に時は、足袋をはくのも大変だった生徒達が、正装の着こなしで 別人のようだ。
袴の色もいろいろ。大和和紀さんの『はいからさんが通る』で、主人公の袴姿が大きな流れを作った。
きこなしは、この十年 自由な着こなしでびっくりするものがあった。
振袖を着て、袋帯を前結びにしたり、片方の袖を通さず、肩抜ぎにしたり、帯あげのところにミンクをはさんだり。しかし、この二~三年で着こなしも、伝統的なもようのものとなり、品の良い きものもようが見られる。
学園に入学した頃は、足袋もはけなかった人達も、今日の卒業式には、振袖をきっちり決めて、にこにこ笑顔。
日本人は、冠婚葬祭を 守り 伝えている。
お宮まいり、七五三、十三まいり、成人式、結婚式、葬式。日本に伝えられた通過儀礼を見ると、人生のふし目ふし目に 衣を正し、手をあわせて来たのだ。
式典が終わって、ほっとしたのか、にぎやかなおしゃべり。
お互いのきものや帯の話題。
こうして、この子達も大人の仲間入り。成人式も二十才から十八才に変る。
これからは、自分の作る人生だ。
ふと見ると袴姿の生徒の足首が黒いスパッツ。
足袋の上から黒いスパッツがのぞいている。これはまずい。
階段の上り降り。車の上り降りに必ず見えるので、下着はひざまで、ひじまでと気をつけてほしい。きものを着た時は、いつもあなたが主役だ。

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